紙アンケートによる日程調整が、現場を疲弊させる理由
マンション専有部工事における日程調整の方法として、紙のアンケートを使用し、
現地に回収用ポストを設置する運用は、現在でも多くの現場で採用されています。
入居者には、提示された工事可能日の中から第1希望・第2希望、あるいは対応可能な日程に〇を付けてもらい、
エントランスなどに設置されたポストへ投函してもらう。
一見すると公平で分かりやすく、長年続いてきた標準的な方法といえるでしょう。
しかし実務の現場では、いくつかの課題が顕在化します。
まず、多くの物件で見られるのが希望日程の偏りです。
特に土曜日の午前中に希望が集中し、平日は空きが目立つという状況が発生しやすくなります。
その結果、施工スケジュールが分断され、施工会社にとっては効率的な工程を組みにくくなるケースが少なくありません。
さらに、ポスト回収後もすべてのアンケートが揃うとは限りません。
提出が遅れる入居者への対応が発生し、回収済みの用紙を一枚ずつ確認しながらExcelへ入力し、
施工可能数を超えないよう調整する作業が必要となります。
住戸数が100戸を超える物件では、データ入力と日程調整だけで数時間を要することもあり、
担当者の負担は決して小さくありません。
この工程では入力ミスが起こりやすく、日程確定後には各住戸ごとに工事日案内を作成する業務が続きます。
工事時間が住戸ごとに異なる場合や、多言語対応が必要な物件では、さらに作業量が増加します。
加えて、日程確定後であっても「都合が変わった」という連絡は一定数発生します。
そのたびに施工担当者、協力会社、管理会社間で情報共有が必要となり、いわゆる“伝言ゲーム”が生まれやすくなります。
こうした小さな手間や確認作業が積み重なることで、現場運営は担当者個人の経験や対応力に依存しやすくなり、
工事全体の進行が不安定になる要因となります。
紙アンケートによる日程調整は長年活用されてきた方法である一方、
近年では業務量や人的負担の観点から、運用そのものを見直す動きも見られるようになっています。
